コラム

 公開日: 2017-07-27  最終更新日: 2017-09-14

相続税・贈与税の基礎知識(贈与税・相続時精算課税制度)

Ⅳ 贈与税
1.贈与税の計算方法
贈与税とは、個人からの贈与によって財産を取得した人に対して課税される税金です。
贈与税は、暦年(1月1日から12月31日まで)単位で課税され、贈与税額は次の算式によって計算します。
  「贈与税額=(贈与税の課税価格-基礎控除額)×税率」
(1)課税価格
贈与税の課税価格は、1年間に贈与によって取得した財産の価格の合計額です。誰からもらったかは関係なく、すべてを合計することになります。
評価方法については、原則として相続税の場合と同様です。
なお、相続、遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与された財産については、原則として贈与税の課税対象としないで、相続税の課税対象として、相続財産に加算することになっています。
(2)基礎控除額
贈与税の基礎控除額は、一律110万円です。したがって、年間に贈与を受けた額が110万円以下であれば、贈与税はかからないことになります。
(3) 一般の税率
贈与税の税率は10%から55%まで8段階の超過累進課税となっており、贈与税額は通常、贈与税の速算表(一般税率)で求めることになります。
たとえば、1年間に910万円の贈与を受けた場合の贈与税額は、(910万円-110万円)×40%-125万円=195万円となります。
(4)直系尊属からの贈与の特例税率
直系尊属からの贈与により財産を取得した者(その年の1月1日において20歳以上の者)については、税負担が緩和されており贈与税額は、次の速算表(特例税率)で求めることになります。
たとえば、1年間に910万円の贈与を受けた場合の贈与税額は、(910万円-110万円)×30%-90万円=150万円となります。

2.贈与税の特例
(1)配偶者控除
婚姻期間満20年以上の配偶者から、居住用不動産(またはその取得資金)の贈与を受け、居住の用に供した場合には、配偶者控除(上限2,000万円)の適用を受けることができます。
したがって、配偶者控除の適用を受ければ、基礎控除とあわせて、2,110万円までは贈与税が課税されないことになります。
ただし、この特例は同一の配偶者から一生に一回しか適用することができませんし、税額が生じない場合であっても贈与税の申告をすることが必要です。
(2)相続開始前3年以内贈与
すでに述べたとおり、相続開始前3年以内の贈与については、相続税の課税財産に含めたうえで、課税された贈与税額については贈与税額控除の適用があります。
なお、上記(1)の配偶者控除の適用を受けた財産は、これに含める必要はありません。

3.贈与税の申告、納付
贈与税は、贈与された年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、贈与を受けた人の住所地の所轄税務署長に申告し、納税することになります。3月15日が、土曜日、日曜日に当たる場合には、その翌日が期限となります。
贈与税についても、現金で一括納付するのが原則ですが、一定の要件を満たす場合には、延納(5年以内の年賦)することができます。
なお、延納の場合には、所定の利子税がかかります。


Ⅴ 相続時精算課税制度
1.制度の概要
相続税と贈与税は、原則として、それぞれ別々に課税されますが、贈与税と相続税を通じた納税を選択することができるのが、相続時精算課税制度です。
贈与時に贈与財産に対する贈与税を将来の相続税の前払いとして支払い、相続時にそれまでの贈与財産と相続財産を合算して相続税額を計算します。
そして、すでに支払った贈与税を精算(トータルとして、不足分は相続税として納付、トータルとして過払分があれば、還付)することになります。

2.適用対象者
この制度の適用対象者は、贈与者が60歳以上の親で、贈与を受けるのは、20歳以上の推定相続人である子(子が亡くなっている場合には20歳以上の孫)、20歳以上の推定相続人でない孫(平成27年1月1日以後適用対象者に追加されました)です。
なお、年齢については、贈与をした年の1月1日現在で判定します。

3.適用手続き
この制度は、それぞれの受贈者が、贈与者ごとに選択することができます。
したがって、長男が選択し、次男は選択しないことも可能ですし、また長男が父からの贈与については選択し、母からの贈与については選択しないこともできます。
相続時選択課税制度の選択をしていない場合には、通常の贈与税(暦年課税)の適用となります。
相続時選択課税制度を選択する場合には、適用を受けようとする最初の贈与に係る贈与税の申告書に、相続時精算課税制度選択届出書を添付して、贈与税の期限内に申告する必要があります。相続時精算課税制度は、一度選択すると、相続時まで継続して適用されることになり、途中でやめることはできませんので、注意する必要があります。

4.適用対象財産
土地、家屋や現金、預金などの贈与財産の種類、金額、回数等に制限はありません。
なお、この制度による贈与財産については、相続税の小規模宅地等の特例の適用を受けることはできません。

5.贈与税の計算方法
(1)贈与税の計算方法
この制度を選択した場合は、贈与財産の合計額2,500万円までは非課税となり、それを超える部分は一20%の税率によって贈与税を支払うことになります。
この非課税枠は、複数年にわたって利用することができますので、1年目に1,500万円の贈与を受けた場合、2年目は、1,000万円までであれば、非課税となります。
2年目に1,200万円の贈与を受けた場合には、(トータルで2,500万円を超える)200万円×20%=40万円が贈与税額となります。
この贈与税は、暦年課税の贈与税とは異なり、あくまでも相続時精算課税制度に係る将来の相続税の前払いとしての性格を有するものです。
(2)期限内申告用件
相続時精算課税制度を選択した後の贈与については、期限内申告が要件となっています。申告期限までに申告が行われなかった場合には、たとえ2,500万円の範囲内であったとしても、贈与税が課税(税率20%)されることになりますので、注意する必要があります。

6.相続税の計算(精算)方法
この制度を選択した場合、相続時に、それまでの贈与財産(贈与時の時価)について、相続財産(相続時の時価)と合算して相続税額を計算することになります。
そして、それまでに支払った贈与税額を控除した額を相続税として納付することになります。支払った贈与税額の方が多い場合には、差額が還付されることになります。


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