コラム

 公開日: 2016-01-12  最終更新日: 2018-01-27

「辻が花」という花はありません。

「辻が花」を花模様だと勘違いしている人がおおいようですが、「辻が花」は室町中期から江戸時代初期まで用いられた模様染めの染色法の一つです。

 「室町時代まで、染物の衣装は織物に比べ格下とみられていましたが、戦国時代になると、武士は公家社会の織物による重ね着の美よりは染め模様の美を求めるようになりました。

 しかし、当時は、まだ友禅染は開発されておらず、絞りによる模様染めが創意工夫されて、生まれた染色法のが「辻が花」でした。

 辻が花」というと故久保田一竹氏が有名ですが、氏の作品がすばらしいのは間違いないですが、本来の「辻が花」ではありません。

 「辻が花」は幻の染めと言われておりますが、故小倉健亮(おぐらけんすけ)氏を祖とする小倉一門が徳川家康やお市の方の辻が花染めの小袖を復元していますので、小倉一門の「辻が花」で説明します。

 「辻が花」の染め技法は、絞りで柄模様を作り、色別に絞った先端を付け染めしていきます。この絞り染めしたものに、カチン(煤墨)で描き絵、摺り箔、刺しゅうを併用して完成させます。

 しかしながら、江戸時代初期に、友禅染が登場すると、「辻が花」は、その染技法の手間と模様の自由度で、友禅に劣るために、足早に消えていきました。幻の染めと言われるゆえんです。

 戦国の世で、織物では表せない優しい「辻が花」の衣装に、ひと時の癒しを求めたのかもしれません。ものすごいスピードで変化する現代のストレス社会でも、「辻が花」は、癒しになるのではないのでしょうか?

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