コラム

 公開日: 2014-06-24  最終更新日: 2015-08-27

母親の娘への深い愛情を表した絣の紬

 江戸初期まで、日本は中国から莫大な量の絹糸を輸入していました。絹糸の支払いで大量の金銀が流失し、そのことを危惧した江戸幕府は、1685年に生糸の輸入を大幅に制限しました。
 
 西陣などの絹織物産地では、たちまち原料不足に落ち入りました。そのため、全国の各藩が養蚕を奨励し、養蚕産地は全国的に広がり、日本の養蚕が盛んになっていきました。

 養蚕が盛んになった地域では、絹織物に使えないクズ繭をほぐし、真綿にして糸を紡ぎ、野山の草木で染め、自家用として織りました。これが紬と呼ばれるようになりました。紬は太くて粗い絹糸で織るので、節のある織物になりますが、温かくシワにもなりにくいのが特徴です。

 紬の着物を少しでも華やかにと、糸を染める前に他の糸で括り、染まらない部分を作ってから織ると文様が出る技術を取り入れました。この文様が「かすり(絣)」と呼ばれました。色に染まった部分と染まらない部分の境目がかすれて見えることからその名が付いたそうです。

 江戸時代、農民は絹物の着用を禁止されていましたが、紬は除外されていました。農家の母親は紬の着物を『お蚕さん』と呼び、農作業の合間に糸を紡ぎ、草木で染め、絣の着物を織り上げ、娘の嫁入り道具として持たせたそうです。

 紬の着物に袖を通すと体だけでなく心まで温かくなる優しさを感じるのは、そんな歴史があるからではないでしょうか?

当店のHPは http://www.orieya.com/

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